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執筆者の写真Hiroki Sato, MS, ATC, CR

Context



まだまだ先だと思っていたソースポイントセラピーのセミナーもいよいよ来週スタートです。今年は二回目なので前回とは違い勝手が分かっているので少し楽ですが、それでもクラスの資料の翻訳などの準備に追われています。そんな中、ブログを書いている訳ですが、、、(汗)。ソースポイントセラピーでは、コンテクスト(背景・状況といった意味)の話が良くでます。一番初めにクラスで聞いた時はピンとこなかったのですが、最近はそれが明確に分かるようになってきたので、共有しておきたいと思います。

昨日の夜はパナソニック・インパルス(Xリーグアメフトのチーム)に行っていました。アメフトチームの練習にスタッフとして行く場合、私の役割はロルフィング/ボディートークの施術家からアスレティックトレーナーへとかわります。これは、アメフトのチームに所属する、トレーニングルームで選手をみる、という状況が私の役割を決定しているのです。

アスレティックトレーナーとして活動する場合、症状ベースで痛みを取ることが主な役割となります。つまり、選手が競技に復帰するのをいかに早くするかという所に焦点をあてます。ロルフィングの場合は、身体構造(肉体、姿勢など)のバランスと機能をいかに向上させるかを目的として施術しています。ソースポイントセラピーは、身体のブループリントと繋がるという目的で行います。ボディートークを行う時は、ボディートークを中心に今まで私が学んで来たことを全て使って施術しています。それら三つとも、症状ベースというよりは症状がでるようになっている根本的原因を探ることに焦点をあてています。また、それぞれがコンテクストです。つまり、どういう焦点、意図、意識で施術をするかということが変化し、それによって結果も変わってくるんですね。

アスレティックトレーナーとしてアプローチする場合に、普段行っている施術方法やコンテクストでできないのかと思われる方もいるかもしれないですが、それは自分にはできません。普段の施術の時は完全予約制で最低でも1時間は1対1の時間があり、目の前のクライアントさんにだけ集中する環境があります。また、クライアントさんも参加型であり、その場にいることに対する意識が高いです。仮に施術中はベッドで寝ているだけだと思っていても、予約をして、時間をかけて私のセッションルームまで来て下さっている時点でコンテクストが変化するんですね。トレーニングルームの場合、丁度都合が良いからちょっとみてもらおうという選手もいます。まわりはラジオから音楽が流れ、人が行き交い、みている選手にちょっかいを出してくる選手もいます。そんな環境も楽しいですが、全く環境が違いますよね。

別の例をあげるとすれば、プロのピアニストがコンサートで弾く内容のピアノを、ホテルやバーで弾いてもらっても同じような印象にならないのと一緒です。ピアニストのピアノを弾く力量に変化はないわけですが、環境によって弾く内容や提供できるものも変化していきますよね。それが、コンテクストです。

こういった内容の場合、ではどちらが良くてどちらが悪いと善悪で考えてしまう場合もありますが、私はどちらもそのコンテクストで最大の努力をしていれば良いと思っています。アスレティックトレーナーとしてやっている時でも、ボディートークの中で使えるものは使いますし、MATも使いますし、ロルフィングのテクニックも使います。その環境、与えられた条件の中で最大限できることをやっているつもりです。では、予約して来て頂いた時の施術とトレーニングルームで行う施術のどちらがより効果があり、身体の状態も改善されるかと言うと、ほぼ確実に前者です。コンテクストが違うから、身体も違う変化が起こるし、今まで治らなかったことが治ることもあるんですね。もちろん施術の内容や技術も関係がありますが、実はコンテクストもかなり関係しているんですね。

先程のピアニストの例でいえば、ホテルで弾いている時は曲がその場にバックグラウンドミュージックとして流れていて、行き交う人が何げなく聞けるという役割があったり、ジャズバーで弾いていたら場と一緒にグルーブ感をだせる時もあるでしょう。しかし、コンサートホールで何百人もの人が聞いているコンサートで弾く内容と相手に与える感動のレベルは、別の場所でピアノを弾くのと同じものにはならないと思います。どちらが良い、悪いではなく、コンサートでの感動を味わいたいのではあれば、コンサートに行く必要があるということです。だから、ライブに行くと普段味わえない感動を味わえるんですね。でも、わざわざライブにいかなくてもCDで十分だという人もいるでしょう。どちらが良い悪いではないですよね。それは施術でも同様で、別にマッサージでその場だけでも気持ちよくなれば良いや、というならそれで良いと思います。とりあえず今日の練習が乗り切れれば良いというのであれば、それで良いと思います。ただ、もし根本的な所から変えていきたいのであれば、それなりのコンテクストも必要になってくるんですね。

話は少しそれますが、若いアスレティックトレーナーや学生には、アスレティックトレーナーにはアスレティックトレーナーとしてできることがあるので、それを全うすれば良いとアドバイスをさせてもらうことがあります。自分ではコントロールできない部分(今回の場合でいえばコンテクスト)を何とかコントロールしようとして、自分でホールドできないことをホールドしようとしていると、自分がやられてしまいます(経験者は語る。笑)。コンテクストによって変化するということを理解した上で、その中で自分ができる最大限の努力をする必要はもちろんありますが、まずその理解がないと努力してもどうしようもないことに対して力とエネルギーを注ぐことになってしまうので、注意が必要ですね。また、力を注ぐべきこともキチンと理解しておく必要があり、そのためには自分が何をやりたいのか明確にしていく必要がありますね。

コンテクストという意味が何となく理解して頂けたでしょうか?コンテクストがなぜソースポイントセピラーで大事な概念になるかというと、ソースポイントセラピーは身体に治癒がおこる環境、今から行うセッションの効果がよりでるためのコンテクストをつくることができるセラピーだからです。個人セッションでも、もちろんそれは明らかですが、グループでやるとそれがもっとパワフルになるので、来週からが楽しみです!今回のセミナーでの私の役割は、コーディネーター、通訳、そしてアシスタント!一人三役、それぞれのコンテクストの中でやっていこうと思っています。

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